2022年5月29日 喜びを携えて ローマ15:32

2022年5月29日 喜びを携えて ローマ15:32

また、神のみこころにより、喜びをもってあなたがたのところに行き、あなたがたとともに
憩いを得ることができるように、祈ってください。 
ローマ書15章32節(15:22~32)

 《パウロの宣教計画》パウロは、ローマ教会への訪問を切望していたことを、本書の冒頭(1:9~15)にも記し
この結びでも述べている。
だが、その計画は「何度も妨げられてき」(22節)たという。
人間の生活は、たとえ良いことを願ってのことであっても自分の思い通りには行かない。
伝道においても、人が熱心に願っても、人を救おうとなさる神の熱心に導かれなければ、進まない。
パウロは、アジヤやピティニヤで宣教活動を進めようとしたが禁じられ、マケドニヤに導かれている(使徒16:6~10)。
「人の心には多くの思いがある。しかし、主の計画こそが実現する。」(箴言19:21)とある。
伝道は、必ずしも人が願ったように進展するわけではないが、出来る精一杯に励むことが大事である。
パウロがロ-マ書を記したのは紀元58年初頭の頃である。
異邦人への宣教旅行を開始して約12年、広大な地域の主要都市に教会を建て指導者たちを育成し終えた。
この時の彼は多分60歳近く、大事業を終えた年寄りの彼が、隠居どころか、新たにローマ西方地域への宣教を夢見ている。
イスパニヤ行きは実現しなかったようだが、ローマ教会を宣教基地にと願った故に、このキリスト教教理と
宣教の多大な貢献をした手紙が記された残された。神の導きは常に素晴らしい。
 《エルサレムでの責務》新たな宣教に心を燃やしつつも、パウロは「しかし今は、聖徒たちに奉仕するために
私はエルサレムに行きます。」(25節)と、エルサレムでの奉仕を優先させる。
初代教会の礎を築いたエルサレムのユダヤ人キリスト者たちから、福音はユダヤ・サマリヤに広まり
彼らの宣教活動によって福音は異邦人にも届けられたのである。
そのエレサレムの聖徒たちが、今、迫害に加えて飢饉などもあって困窮していた。
エルサレム教会の霊的な愛の業に与った異邦人教会が、そのことを感謝して、今彼らが必要としている物質的なもので
援助することは「義務」(27節、原語「負債」)でもある。
「援助」(26節、原語「コイノニヤ交わり」)と言葉が使われているように、喜びや悲しみ、また持ち物さえも
「分かち合い、共有する」ことである。異邦人教会の代表者たち(使徒20:4)を伴い、義援金を届けようとしたのは
ささげる異邦人キリスト者と受けるユダヤ人キリスト者が共にキリストの恵みに与かり、理解し合い
共に神を賛美し一致することを願ってのことであった。
しかし、パウロを裏切り者だとして殺意を抱くユダヤ人たち(使徒9:24,29)のいるエルサレム行きは危険である。
だが、パウロは死も覚悟の上でのほうしであった(使徒21:13)。
この義援金は、異邦人教会が「喜んで援助することにした」(24節)と記してはいるが、パウロがその協力を
得るために大変な苦労をしている(Ⅰコリント16:1~3,Ⅱコリント8:1~7、9:1~14)。
それでも献金を募ったのは、異邦人とユダヤ人のキリスト者同士が、将来に分裂するような事態にならぬようにとの
異邦人宣教の責任者としての現実的な配慮であった。
 《パウロの要請》異邦人キリスト者に対するユダヤ人キリスト者の偏見は、「使徒会議」(使徒15章)で
解消したわけではなく、一致は未だ困難であった。
パウロは、今回の義援金をエルサレムの教会が喜んで受け入れ、異邦人キリスト者に感謝し、主にあって一つだと
認めてくれるか、不安であった。
そのため、彼は、ローマ教会の兄姉たちに、エルサレムでの奉仕が用いられるように
「私とともに力を尽くして(一緒に戦って)、神に祈ってください。」(30節)と要請する。
エルサレム教会の聖徒たちを、パウロは正しい教理を振りかざして説き伏せるのではない。
彼らが、異邦人キリスト者も同じ兄弟姉妹だと理解し受け入れる心となるように、神に懇願する祈りの戦いを
一緒にしてくれと頼んでいる。
さらに「神のみこころにより、喜びをもってあなたがたのところに行き、あなたがたとともに
憩いを得ることができるように」(33節)とも頼んでいる。
エルサレムでの奉仕が祝福のうちに終わり、願いが叶えられた喜びにあふれて、あなたがたのところに行き
「ともに、憩いを得る」ことが出来るように、と。
私たちの主キリストこそ、私たちに真の憩いを与えてくださる方だ(マタイ11:28、イザヤ11:6)。
キリスト者は、この方からの喜びを携えて、友と一緒に憩い、慰めを楽しむことが可能だとは、何と幸いなことか。

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